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アリを語ることの難しさ

「アリという問題に立ち会い、それを記述することは、とくに困難であるように思われる。ミツバチ社会やシロアリ社会なら一つのブロックを形成しているので、ざっと概観することも可能である。そこには典型的なミツバチ社会、典型的なシロアリ社会というものが存在する。これに対して、アリにはその種類の数だけさまざまなアリ社会があり、種類が異なるだけ生態がちがっているのだ。何を対象にしてよいかわからなくなるし、どこから手を着ければよいかわからない。素材が豊富すぎ多様すぎて、たえず細分化してゆくので、興味の中心があらゆる方向に迷い込み拡散してしまう。統一は不可能で、中心が存在しない。一家族や一都市の歴史なら書くこともできようが、相手にしなければならないのは、異なった数百もの民族の編年史、というよりはむしろその日記を書くようなものなのだ。」

M.メーテルリンク「蟻の生活」p.9
引用長すぎで申し訳ないが、アリの勉強を始めたとき、こういうことはなるべく早いうちに知りたかったと思う。

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2006年01月02日 22:28に投稿されたエントリーのページです。

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